アイヌのカムイ
私が、最初に北海道に行ったのは、横浜市立高校を卒業した 1979年の夏 高校の同級生が車を購入しキャンピングカーに改造したので、数名で北海道に行くことになった。
行き先が北海道になったのも、一緒に行った同級生の一人の親が北海道の灯台で働いていたので、訪問もかねていた。 その北海道旅行体験が、自分の中の何かを変えていたのだと思う。数年後に北海道から誘致を受け、釧路管内に進出を決めたのも北海道旅行の体験があったからだと、いまでも思っている。
アイヌ文化の教え
北海道からの誘致は、道内各地にある魅力的な場所から選ぶもので、視察の結果「白糠町」に決定した。
白糠町は、アイヌ文化と密接なつながりがあり、会社の敷地もアイヌの遺跡跡との事で、社屋の建設前に文化財の調査が行われた。
白糠町にはアイヌ人と名乗る人々がおり、地元の若い女性のアイヌ人が案内や手伝いをしてくれる事になった。彼女の話は、自然に対する考え方など、奥が深く素晴らしい話が多かったのだが、一番驚いたのが、これらの話は、全て祖母からの口伝だという。
アイヌの物語伝承は主に口承
アイヌ文化における物語伝承は主に口承で行われると言う。アイヌ民族は、日本の北海道、サハリン、クリル諸島の一部に住む先住民族で、独自の言語と文化を持っており、アイヌの歴史、伝統、宗教、価値観は、長い間、口頭で語り継がれてきた。
アイヌの口承文学は、ユカラ(英雄叙事詩)、ウェペケレ(物語)、カムイユカラ(神々の物語)など、多岐にわたります。これらの物語は、自然界との深い関係、動物や植物、自然現象への敬意、社会的な教訓、伝統的な知識や信念を伝える内容が含まれています。
アイヌの口承伝統は、コミュニティ内での教育、知識の伝達、アイデンティティの維持に重要な役割を果たしています。物語は、集まりや儀式の際に語り手によって語られ、聞き手によって聞かれ、記憶され、さらに次の世代へと伝えられることで、文化が保持されてきました。アイヌの口承文学は、アイヌ文化の重要な側面を形成し、今日においてもその伝統と文化の保存に努める多くの人々によって大切にされています。
アイヌ文化における自然に対する考え方
アイヌ文化における自然に対する考え方は、深い敬意と共生の精神に基づいています。アイヌ人は、自然界のすべての要素――動物、植物、川、山、海など――が神々(カムイ)に宿っていると考え、これらすべての存在に対して敬意を払って生活しています。この世界観は、アイヌの宗教観、伝統、生活様式に深く根付いています。
- 自然との調和:アイヌ人は、自然と調和しながら生きることを重視し、自然環境を尊重して利用します。例えば、狩猟や漁業を行う際には、必要以上に乱獲せず、自然の恵みに感謝する儀式を行います。
- カムイとのコミュニケーション:自然界のあらゆる要素はカムイ(神々)として崇拝され、これらのカムイと人間との間には、互いに尊重し合う関係が存在します。アイヌの儀式や伝統は、これらの神々とコミュニケーションを図り、調和を保つことを目的としています。
- 自然の恵みへの感謝:アイヌ文化では、狩猟や漁獲を通じて得られる自然の恵みに対し、深い感謝の念を抱きます。食事をする前の祈りや、獲物を捕る際の儀式は、その表れです。
- 持続可能な生活:アイヌ人は、自然との共生を大切にすることで、持続可能な生活を実践しています。彼らの生活様式や伝統は、自然資源を守り、後世に引き継ぐことの重要性を教えています。
アイヌ文化におけるこれらの自然観は、今日においても大きな教訓を与えており、環境保護や持続可能な社会の構築に向けたヒントを提供しています。
川は海から山へと流れる
彼女の話には、興味深い事がいろいろありますが、教えの根底は「アイヌの世界観では、自然界のすべての要素は生命を持ち、神聖な存在であるカムイ(神々)が宿っている」というもので、さらに「川は海から山へと流れる」という感覚です。これはアイヌの人生観にも繋がると言われたことが一番印象に残っています。
その人生観として彼女は「今、あなたと同じ川にいるが、やがて別々の流れになる」と、微笑んでいたのが思い出されます。
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北海道の大自然を走っていて、移ろいゆく景色には心躍ります。一期一会の朝日・夕日は感動があります。
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